眠っている間に歴史の年号や英語の単語などの音声を聴き、脳の記憶として定着させるという学習法・・・そう、“睡眠学習”と言われる勉強方を検討したことが有りますか?
勉強するときは長時間集中することが必要だといわれますが、睡眠学習は無意識に行われるので集中力を持続させる必要がありません。
眠っている間に勉強が出来たらかなり便利ですが、本当に睡眠学習は効果があるのでしょうか?
ちなみに、睡眠学習の歴史は古く約100年にもなります。
1924年に『覚醒中と比べると睡眠中の方が、記憶の定着度が高い』という研究結果が発表されたことに端を発し、1960年代からは枕にテープレコーダーを取り付けた睡眠学習機が販売され、雑誌や新聞をはじめとする各種メディアを賑わせるほどの流行となりました。
近年では携帯やスマートフォンの登場により、気軽に聴くことができる睡眠学習音声も増えてきています。
睡眠学習は効果が期待できるのか?
残念ながら、現在では睡眠学習には効果がないという考えが一般的です。
むしろ、睡眠学習音声によって睡眠の質が下がって脳の働きが衰え、記憶の定着率も低くなってしまうので逆効果とされています。
単純な音や匂いはともかく、睡眠中に複雑な情報を記憶することはできません。
睡眠中に覚えることができるのは眠っている間に聞いている音声ではなく、眠る前に聞いていた音声なのです。
人間の記憶は新しいものによって次々と上書きされていくという性質を持っており、時間の経過とともに失われていきます。
そのため、就寝前の学習によって記憶した情報というものは極めて新しいものであり、かつ、他の情報による干渉も受けないため、睡眠中の定着率が非常に高くなるのです。
正しい睡眠学習のやり方とは?
では、睡眠学習は全く効果がなく、無意味なのでしょうか?
・・・いえ、そんなことはありません。
睡眠学習は正しく行うことで、効率よく勉強することが出来るのです。
前述の通り、就寝前の学習によって記憶した情報は、睡眠中の定着率が非常に高くなると言われていますので、それを上手く利用するのが正しい睡眠学習となります。
そう、本当の睡眠学習とは睡眠中に勝手に学習してくれる物ではなく、就寝前に学習する学習法なのです。
睡眠中の記憶の定着率の高さを最大限活用するためには、就寝前の2時間程度を学習に費やし、学習後はテレビ、ゲーム、パソコンなどの余暇の時間を設けずにすぐに寝付くといった学習方法が有効です。
また、就寝前の学習であれば国語や数学など、論理的思考を必要とする複雑な情報でも記憶することもできます。
夜間の学習時間を増やしても、睡眠時間が減ってしまったとなると思ったような効果は期待できません。
睡眠中の記憶の定着率を上げるためには、睡眠の質を高める必要があります。
そのためには、日中に適度な運動を行ったり、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。
また、睡眠中に睡眠学習音声ではなく、快眠を促すヒーリングミュージックなどを聴くようにすると記憶の定着率を上げることができます。
その他、リラクゼーション効果のあるラベンダーやカモミールなどのアロマテラピーなども有効です。